H&M回転率
H&Mは、特徴はファッション性のある洋服を売っていることとその商品の価格が低いことに加え、商品のサイクルが速いことです。H&Mの全ての商品は売り切れることを想定している、つまり、売り切れ御免で、決して再生産はしません。流行のスタイルのアイテムは、わずか2週間ほどで店舗から消えていきます。また、有名デザイナーとのコラボレーション商品は即日完売することも、まれではありません。そのためH&Mでは、1年間におよそ50万点の商品をおよそ700社が協力している工場で生産しています。1日平均でおよそ1300点もの新しい商品を店頭に並べています。このようにH&Mは、店頭での商品の入れ替わりが非常に速いです。生産から店頭に並ぶまでの時間のことをリードタイムといいます。このリードタイムは、通常速くても3週間ほどかかります。しかしH&Mでは、通常は2、3ヶ月ほどリードタイムがかかり、競合の他社と比べるとむしろ遅いくらいです。H&Mの提携している商品生産工場の7割近くは、アジアに存在し、特に中国に多く存在します。一方、店舗網の中心はアメリカやカナダなどのある北米と、ヨーロッパです。H&Mはコストをなるべく減らすために船便輸送を使っています。そのために、どうしても時間がかかってしまうのです。しかし、その物流の遅れを取り戻すための方法があります。それは、H&Mの販売データに対する分析をする能力とスピーディーな反応です。H&Mは世界中から収集されたPOSデータを、本社のデザインチームで毎週分析します。例えば、売れ行きの良い商品があればそれに良く似たデザインの商品をすぐに用意します。逆に、売れ行きの良くない商品はその後継商品の数量と出荷する時期を判断し直します。H&Mの現在の方法では、確かに物流面での制約はあります。しかし、そこで先行して1年先までの商品をデザイン化することを進めます。それから、売れ行きによって後々調整を行います。これにより店頭ではいつも新商品が出回るスピーディーで回転の速い仕組みができているのです。
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